教員紹介

情報基礎学

教授  江原 康生

博士(情報科学)(東北大)

多種多様なデータの分析・利活用及びコミュニケーション支援

社会における様々な分野で膨大かつ多種多様なデータ、情報が生成,収集の動きが進む中、これらデータから新たな知識や価値を見出すために幅広い分野の多様なニーズに対応した有益なデータ分析、利活用を支援できる技術が求められています。

本研究室ではこれらのニーズに適切に対応するために、各分野で扱うデータの特徴や構造などを的確に把握し、実用的なデータ分析基盤に加えて、これら協調作業を支援するコミュニケーション技術に関して、ネットワーク、データベースなどの情報基盤分野やバーチャルリアリティ、データ可視化等のメディア情報分野を横断的に網羅し、幅広い視野を持って研究開発を行っています。

さらに、これらの技術アプローチを人文・社会科学等も含めた幅広い分野に適用することで、社会における多角的な課題解決の支援を目指した実践的研究への展開も視野に入れて取り組んでいます。

プロフィール

兵庫県出身。京都大学,大阪大学を経て,2020年より現職。電子情報通信学会,情報処理学会,日本バーチャルリアリティ学会,日本人間工学会,人工知能学会,日本教育工学会,日本心身医学会,IEEE CS各会員。


教授  竹内 和広

博士(工学)(奈良先端科技大)

自然言語理解のモデル構築とそれを用いた応用処理

我々が用いる日本語や英語といった自然言語は、人間が行う知的活動やコミュニケーションで本質的な役割を担う。自然言語処理の研究は、日本語漢字変換、機械翻訳、インターネット上の情報検索等の有用なアプリケーションを数多く生み出してきた。しかし、現在においても、計算機が手本とする人間の言語理解のメカニズムは限定的にしか解明されていない。そのため、自然言語処理のアプリケーションは、限定的な言語理解モデルを利用せざるを得ない状況が続いている。

私の研究室では、1)人間の言語理解の構造を明らかにする研究を基礎に、2)言語運用の背景となる膨大な知識を構造化し、自然言語の処理基盤を整備する研究を行っている。また、システムエンジニアであった経験を生かし、
3)知的活動やコミュニケーションにおける新しい言語運用の「場」をデザインする「モノ作り」的研究にも取り組んでいる。

プロフィール

民間のシステムエンジニアから大学院を経て、国立研究所で自然言語処理の大規模なプロジェクト研究に従事、その後、本学に赴任しました。好奇心溢れる学生諸氏と研究・勉強を共にする刺激的な生活の中で、常に新しい発見ができることを楽しんでいます。技術者である前に人として社会に貢献できる人材の育成に微力を尽くしたいと考えます。


准教授  阿部 昇

博士(工学)(神戸大)

グラフ理論とその応用

本研究室では、グラフの自動描画法および地図への地名配置法を中心に研究しています。

ここでいうグラフとは、点(頂点と呼ばれる)と線(辺と呼ばれる)からなる数学的な構造のことです。グラフを用いることにより、様々な構造を表現できるようになります。例えば、コンピュータを頂点で、コンピュータ間の通信路を辺で表せば、ネットワークの構造を表現できます。また、駅を頂点で、路線を辺で表せば、電車などの路線図を表現できるようになります。

同じグラフでも、頂点や辺の配置の仕方によって、その見やすさは大きく変わってきます。頂点や辺の数が増えてくると、見やすい頂点や辺の配置を人手で決定するのは困難な作業になってきます。そこで、コンピュータを用いて、自動的に、できるだけ見やすい頂点や辺の配置を決定する方法について広く研究が行われています。このような手法が、グラフの自動描画法と呼ばれています。

(地図への)地名配置問題とは、平面上に描かれたいくつかの地点に対して、その地名を、できるだけ見やすく、できるだけたくさん配置する問題のことです。これについても、地点が増えてくると人手による作業は困難になってくるため、コンピュータを用いて自動的に地名を配置する方法について広く研究が行われています。

プロフィール

兵庫県出身。趣味は楽器演奏(トロンボーン)、スポーツ観戦(サッカー)など。電子情報通信学会、IEEE会員。

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情報処理学

教授  越後 富夫

博士(工学)(阪大)

映像メディア処理とその応用

映像処理により、人に優しい視聴環境を実現する研究を行っています。デジタルカメラ、デジタル放送、インターネットの普及により、大量の映像データが視聴可能になりました。しかし、人が映像を視聴できる時間は限られています。本当に興味のある映像だけを探し出し、部分的に表示するには、映像の内容を把握する必要があります。文字情報は文字の解読によって文章の意味が獲得できますが、映像はデジタルデータの系列だけで、そこから意味を獲得するのは不可能です。映像に存在する全ての対象物の名称を記述することで映像の解釈は可能ですが、映像は3次元を縮退したものであるため、見る方向が異なり、部分的に隠された対象物を解釈するのは、現状では非常に困難です。そのため、映像に注釈を入れ、記述形式を標準化することが提案されましたが、時間を要する注釈入力を、現在は人に頼っています。映像をコンピュータで自動解釈できれば、いろんな場所に散在する大量の映像データから、個人の嗜好する映像だけを取り出し、短時間に要約することも可能になります。この高いハードルに対し、目的ごとに少しずつ自動化を進め、人に役立つシステムの研究を行っています。

またこの研究は、直近の応用分野に適用可能です。医療の分野は、X線、CT、MRI、超音波に加え、内視鏡の映像診断が増加しています。特にカプセル内視鏡は新しい消化器官診断方法として、益々需要が高まると考えられます。本研究室では、過去の診断例を検索し、類似した映像を医師に提示する診断支援システムの構築を行っています。さらにネットワークを利用した遠隔診断における改竄検出やデータの暗号化など、セキュアな医療環境実現も行っています。

プロフィール

日本IBM(株)に21年間勤務し、基礎研究部門で映像・画像処理応用プロジェクトに従事する。その間、国内外の大学・国立研究所・企業研究所と共同研究を行い、産官学連携で国際標準にも貢献した。日本ロボット学会評議員、映像情報メディア学会編集企画委員を歴任。


教授   ヒルド・ミヒャエル

博士(工学)(阪大)

画像理解とその応用

人間にとってたやすく出来ることがコンピュータにとって難解な問題となり、人間にとって難解の問題がコンピュータにとってはたやすく解けるということはよくある。例えば、人間は何かのシーンを見ると、その中の対象物、その位置、対象物間の関係や目的までを即座に認識し、対象物が動いても簡単に目で追うことができるが、コンピュータではそうはいかない。現在のところ、画像による情報に基づいてコンピュータが一つのシーンを理解するには、大変複雑で時間のかかるアルゴリズムが必要であり、用いられる方法は柔軟性がなく、もろいという傾向がある。

当研究室の主な研究課題は、このような人間とコンピュータの画像理解のギャップを小さくするためのアルゴリズム、技術、画像理解システムのプロトタイプを作ることである。具体的な研究トピックスは、表に示されているとおりである。

プロフィール

人口知能学会、情報処理学会、電子情報通信学会、IEEE、IS&T 会員。


准教授  加藤 常員

博士(理学)(岡山理大)

「データ」を読む・観る・解く

世界中につながるインターネットの広がりは、容易に大量の情報を得ることを可能にしました。蓄えられた情報から必要な情報を探し出すことは、そう難しいものでない環境が整いつつあります。しかしながら、蓄積された情報において、一見、無関係に見える情報間の関係の中から優位な関係を見つけ出したり、有用な情報だけを抽出したりすることは、簡単ではありません。より巧妙な情報処理が要求されています。たとえば、未知の知見や視座を探るデータマイニングをはじめとする情報処理技術が展開されつつあります。

本研究室では、人文科学分野(特に歴史学、考古学、地理学など)の情報をもとに、データマイニングをキーワードにその関連研究(データベースとその応用システム、データマイニング、GIS:地理情報システム、知識発見、シミュレーションなど)を行っています。研究者の記憶や経験に頼ってきた人文科学分野は、新しい情報処理の素材の宝庫と云えます。時間と空間のなかに埋没した情報を発掘するような情報処理、発送を刺激する情報処理、創造を誘発する情報処理創生を目指しています。

プロフィール

院生のころから一貫して人文科学分野への情報処理技術の研究に従事。情報処理学会論文誌編集委員、同学会CH研究会幹事、主査など歴任。現在、文部科学省科学技術政策研究所専門調査員。


准教授  早坂 昇

博士(情報科学)(北大)

音声研究を通した社会貢献を目指して

私は、主に人間が発する音声信号を研究対象としています。音声信号は人間にとって非常に身近なものであり、それらを効果的に処理・解析することで、研究を通じた社会貢献ができると考えております。特に、人間が発した声を認識する音声認識、発した声が人間の声であるか否かを判別する音声検出、誰であるかを特定する話者認識などの研究に取り組んできました。スマートフォンの普及により、音声検索や音声エージェントアプリなどが登場に、音声認識に関する研究が非常に身近なものになってきました。しかし、現在普及している音声認識はインターネットに接続することや高精度なプロセッサ上で動作することを前提としています。

当研究室では、それらの技術をPCのような高精度なプロセッサを持たない機器や インターネットに接続できない機器にも搭載できるように、少ない処理量で同等 以上の性能が出せるような音声信号処理技術や実用化技術について研究していま す。さらに、それらの研究を企業と共同で進め、そこに学生も参画させること で、「実学」を身につけた人材の育成にも力を入れています。

プロフィール

北海道出身。民間企業、大阪大学を経て現職。IEEE、電子情報通信学会、日本音響学会各会員。趣味は競馬、ボウリングなど。


准教授  光本 浩士

博士(工学)(阪大)

画像と音声を情報処理理する

私は、画像による3次元計測に関する研究を行っています。特に、近年、カメラ位置姿勢を精度よく求める手法を開発しました。この手法は世界的に有名な手法に比べ、精度と簡易さにおいて優れています。3次元計測技術は、工業製造業において画像センサーとして利用されており、位置決めに関する利用、外観検査という完成された製品の品質検査に関する利用、また、環境分野では、屋外計測、自動車などへの利用と幅広く応用されています。近年、カメラが安価になり、コンピュータともに組み込み機器として一体化され、応用範囲がますます拡大しています。この分野を学んでおけば、コンピュータと機械を使用したシステムに関連した企業で専門技術者として活躍できると思います。

最後に、進学を考えておられる方に、一言ですが、私自身は、現在、通信工学科に属しております。通信工学においても情報工学はとても重要な学問です。このように、情報工学は、幅広い学問分野であり、それゆえ可能性も大きいと思います。進学され、より深く広く学ばれることをお勧めいたします。

プロフィール

広島県出身。工学部第2部電子工学科に所属。趣味は現在、ストレッチ運動に凝りはじめ、あまりの体の硬さに驚いている。電子情報通信学会、情報処理学会、映像情報メディア学会各会員

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生産管理工学

教授  小森 政嗣

博士(人間科学)(阪大)

人のコミュニケーションを支援する

よりよい人工物の設計においては、人間のさまざまな特性に配慮することが必要となります。例えば、「わかりやすい」情報提示手法を構築するためには、人間の理解の認知的なプロセスに関する心理学的知見が必要となります。また今後、人とインタラクションするシステム(例えば、ロボットや擬人化エージェントなど)がますます普及してくることが予想されますが、このようなシステムが人と円滑にインタラクションを行うためには、人間の社会的な特性を考慮に入れる必要があるでしょう。本研究室では、人間の認知的な特性と社会的な特性を科学的観察・測定法(主に心理実験的方法)により研究しています。現在特に関心を持っているテーマは、人のコミュニケーションの認知的なプロセスです。人間の非言語的行動に着目し、社会的なインタラクション場面における人間の行動を説明する認知モデルの構築を目指しています。また、単に人間の認知過程を探求するだけではなく、研究で明らかになった知見をさまざまなシステムに応用することを目指しています。

プロフィール

以前は脳科学もしていました。音楽の心理学もやっています。認知科学会、日本心理学会、情報処理学会、電子情報通信学会各会員。趣味は弦楽器の演奏。


准教授  阪口 昌彦

博士(理学)(高知大)

複雑な社会の意思決定を支援する数理モデル

現実のデータを理解活用するために多くの数理モデルや統計モデルの研究が行われてい る。数学で記述される数理モデルや統計モデルは思わぬ応用分野に出会い, 花開くことは 少なくない。データサイエンス全盛である今, 情報処理技術を持つ人材が求められていること に加えて, 解決すべき問題の本質を捉え数理モデルとして表現できる抽象化能力を持つ人材の 育成も急務であるように思える。数理モデル構築は昔からの言葉で言い換えると問題を定式化 できると言うことが多い。美しい定式化は多様な応用分野を産み, 時代の変化を伴って利用 される。ゲーム理論における複数主体における相互依存状況の定式化が一般の人にも理解できる 例を伴ってきたように近年では確率的多段意思決定の定式化であるマルコフ決定過程も多くの方 が利用できる例を伴ったと断言できる。マルコフ決定過程を産んだBellmanが志向した医学への 応用では抗がん剤投与モデルやがん検診モデル, 初期のマルコフ決定過程の研究者であるHoward が提案した広告戦略モデルが現実のものとなった。本研究室では問題を定式化でき, さらには, そのモデルを利用できる人材となって一緒に研究できる皆さんをお待ちしている。

プロフィール

大阪府出身。大学以降は高知、神奈川を経て大阪に戻る。日本オペレーションズリサーチ学会研究部会ヘルスケアのOR幹事、日本がん登録協議会専門委員。

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計算機基礎学

教授  古崎 晃司

博士(工学)(阪大)

オントロジー工学に基づく意味処理技術

計算機を用いた知的なシステムを実現するには、「知識」や「意味」を計算機で扱う技術が必要となります。本研究室では、様々な情報の「意味」を適切に扱い、「知識」として体系化するオントロジー工学を基盤技術とした、セマンティック(意味処理)技術に基づく知的システムの研究・開発を行っています。 具体的には,(1)社会課題,生命科学,材料開発など,さまざまな分野を対象としたオントロジーの構築と利用、(2)さまざまな「知識」をWeb上で利用可能なデータベースとしたナレッジグラフ(知識グラフ)を活用した意味処理技術、(3)これらのセマンティック技術を利用した知的システムの開発、等を行っています。 また、これらの応用研究の1つとして、「シャーロック・ホームズのような“推理”(推論)ができる人工知能システムの開発」を目指した技術コンテスト、「ナレッジグラフ推論チャレンジ」にも取り組んでいます。

プロフィール

大阪府出身。人工知能学会、医療情報学会、情報処理学会、電子情報通信学会、IAOA 会員。LODチャレンジ、ナレッジグラフ推論チャレンジ、など学外でのコミュニティ活動も行っています。趣味は、リアル脱出ゲーム。


准教授  上嶋 章宏

博士(情報学)(京大)

組合せ最適化問題の計算複雑さ解明とアルゴリズム設計

我々の身近には、よくよく目を凝らすと本質的には組合せ的な構造の振舞いに支配されている問題が数多くあることに気付くでしょう。例えば、効率的な資材の切り出し、人員配置、ルート検索、スケジューリングなど問題解決のために要件を満たすパターンを組合せ的に選ぶ問題はいくらでも挙げられます。事実、与えられた制限を満たすような組合せ集合の中から一番よい組合せを選ぶ組合せ最適化問題は、計算機科学の分野はもちろん、オペレーションズ・リサーチ、システム工学、さらには経営学、経済学、社会科学に至る広範な領域において様々な形をとって現れてきます。

これらの問題の中には、計算機の処理速度が飛躍的に向上したとしても現実的な時間ではとても歯が立たない問題が我々の身近に数多く存在する一方で、一見効率的には解けないような問題であっても、それらの持つ組合せ的な性質を理解し計算効率の良いアルゴリズムにより華麗に解決を見る問題も多数含まれています。そのため、組合せ最適化問題の持つ本質的な計算複雑さを明らかにし、問題が内在する数学的な構造を用い工夫を凝らした効率のよいアルゴリズムを設計することは、実社会で登場する様々な問題に対し理論的な後ろ盾を与えることであり、ひいては社会的貢献に繋がります。

当研究室では、組合せ構造の表現に多用されるグラフ・ネットワークについての組合せ最適化問題に関する計算複雑さの解明および最適化アルゴリズムの設計に力を入れており、また組合せゲーム・パズルの計算複雑さの証明、手番による優位性の評価、必勝手順の設計などにも取り組んでいます。

プロフィール

三重県出身。趣味はスポーツ(特に球技)、スポーツ観戦(野球)、音楽鑑賞(ライブ観賞)など。情報処理学会、電子情報通信学会、日本オペレーションズ・リサーチ学会会員。


准教授  藤田 玄

博士(情報科学)(阪大)

HDTVを超える高画質を実現する VLSI の実現へ

世界的にテレビ放送はディジタル化の時代を迎えており、受信器の性能は飛躍的に向上しています。特に動画像を表示するディスプレイは解像度・階調ともに放送信号を超える性能を実現しており、今後さらに性能の向上が予想されています。しかしながら、表示されるコンテンツは、多くが解像度や階調に劣る既存のアナログ放送の資産であり、そのままではディスプレイの性能を生かすことができません。また、ディジタル放送やブロードバンド配信、新しい世代の光学メディア・シリコンメディアによるコンテンツであっても、放送帯域やメディア容量の限界から、今後向上するディスプレイの性能に対しては、解像度・階調などに課題が発生します。そのため、帯域・容量を有効活用するための高圧縮技術や、これらのコンテンツをディスプレイの本来の持つ性能に見合った解像度・階調へ変換し高画質化を実現するVLSIやその周辺技術が今後ますます重要となります。

本研究室では、動画像を中核としたメディア処理を効率的に行うVLSI設計に関する研究を行っています。具体的には、動画像の高画質化を実現する技術として、次世代動画像符号化、動画像の高解像度化を実現するためのハードウェア向きアルゴリズム・VLSIアーキテクチャの研究開発を中心に、音声の高音質化など周辺の分野にも積極的に取り組んで行きます。

プロフィール

学生時代からMPEG-2/4、H.263/264、JPEG など代表的な画像圧縮標準のソフトウェア・ハードウェアに関する開発プロジェクトに従事。電子情報通信学会信号処理研究会専門委員など。

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視覚情報学

教授  来海 暁

博士(工学)(東大)

高度情報処理のためのセンシングシステム

人間の脳はとりわけ優れた情報システムであると言われていますが、その理由の一つは、情報処理が単に脳だけで行われているわけではなく、情報入力の部分すなわち「センサ」において相当量の巧みな処理が行われているからであると考えられています。

人間は五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)と呼ばれる優れたセンシング機能を有しており、特に視覚情報は入力される情報全体の大部分を占めています。その情報入力をつかさどる眼球および大脳視覚野は、画像として大量に入力される視覚情報のうち必要なものを瞬時に抽出できる構造をもっており、脳における視覚情報処理系を極めて効率よく実現するのに大変役立っています。

当研究室では、物理世界からの情報取り込み口の工夫により高度な画像センシングシステムを実現することを目指しており、分光反射・透過特性を持つ物体を実時間・高波長分解能で検出するスペクトルマッチングイメージャ、RGB画像からのシーンの分光特性推定,などの研究を行っています。

またソフトウェアプログラミングだけではなく、センサ・計測装置や照明装置などの製作、つまり「モノ作り」にも積極的に取り組んでいます。

プロフィール

新潟県出身。趣味はスキー、スポーツ観戦(特にNFL)、クラシック音楽鑑賞。計測自動制御学会、電気学会、電子情報通信学会、応用物理学会、OSA、IEEE等の会員。


准教授  河合 利幸

博士(工学)(阪大)

計算機内の仮想空間を覗くコンピュータグラフィックス

コンピュータグラフィックス(CG)とは、計算機内に構築した仮想世界を視覚化することである。仮想世界の構築をモデリング、仮想世界の視覚化をレンダリングという。

最近、映画、TV番組、コマーシャル、博覧会パビリオン、テーマパークアトラクション、ゲームなど様々な場所で非常に多くのCG映像を見かけるようになってきた。この他、景観シミュレーション、科学技術計算結果の可視化などにも利用されている。しかし、一般に、精密なモデリングには手間が、リアルなレンダリングには時間がかかる。この裏返しが本研究のテーマである、如何に精密なモデルを手間暇かけずに作るか? 如何にリアルな動画を如何に高速に作るか? ということになる。この高速化の技術の一つに並列計算機を用いる方法がある。本研究室ではこの方法でも研究を進めている。

また、人体皮膚など各種の自然物の表現技術や、計算機内の仮想世界を人間に体感させる技術「仮想現実感」に関する基礎研究ならびに応用についても取り組んでいる。

プロフィール

大阪大学に在学中に画像生成用並列コンピュータLinks-1の開発プロジェクトに参加し、映画「ゴルゴ13」のCGシーン制作に協力して以来、CGに関する研究に従事している。システム構築およびネットワーク関連技術にも明るい。趣味は、スキー、オリエンテーリング、ドライブ、旅行など。


准教授  西 省吾

博士(工学)(鹿児島大)

光情報処理と分光処理の応用

これまでホログラフィを中心とした光情報処理分野の研究を行ってきました。ホログラフィは回折と干渉という光学分野における極めて基礎的な現象を応用した技術一般の総称です。この技術を用いて感光材料のような光学素子に記録したものをホログラムと呼んでいます。ホログラムからの再生像は記録物体の明るさや形状を同時に表現できるため、あたかもそこに記録物体そのものがあるかのように知覚することができます。この技術を活かし、そのうちホログラフィによる立体テレビが実現されるかも知れません。

本研究室では、ホログラフィや分光情報を用いた研究について取り組んでいます。特に分光処理は最近着手したテーマなので、これから充実させていきたいと思っています。分光ベースで取得した情報は従来に比べ、より多くの情報を含んでいます。つまり記録したい物体の色や光沢、質感をより忠実に表現することが原理的に可能になるのです。ホログラフィや分光的手法により物体をリアルに表現することを目指していきます。

プロフィール

鹿児島県出身。趣味はスポーツ観戦やドライブ。情報処理学会、電子情報通信学会、日本光学会、日本色彩学会、IEEE等の各会員。

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