入試
入学試験のしくみ
大学院では、個性豊かな指導教授のもと、オリジナリティのあるテーマを研究します。したがって、大学院生活が意味のあるものになるかどうかは、どの教員(研究室)を選ぶかによって決まります。本当に興味のある分野を見つけ、そこで活躍する教員を訪問し、テーマを相談して下さい。情報工学コースへはどの学科(どの大学)からでも自由に入学できます。大学院情報工学コースに関心を持っている人は、気軽にアクションを起こして下さい。
博士課程(前期)の入学試験
内部推薦入試のしくみ
大学大学院を専願し、情報工学コースの担当教員から推薦された学生のみが受験できます。合否判定は、面接の結果に基づいて行なわれます。
一般入試のしくみ
一般入学試験に関してはこちら をご覧ください
博士課程(後期)の入学試験
博士課程の入学試験に関してはこちら をご覧ください
OBからのメッセージ
ソニー株式会社 竹中 文明 さん(工学修士)
離散的でありながら曖昧さをあわせ持つ、ファジィやニューラルネットワーク、ウェーブレット解析といったソフトコンピューティングは、モノレールの自動運行制御や音声・画像の圧縮技術など、この数十年で数多くの工業製品に応用され、人々の暮らしをより豊かなものへと変えました。今日では、皆さんの生活に溶け込み、なくてはならない技術のひとつであるといっても過言ではありません。
しかしその一方で、様々な形へと進化し変貌を遂げた結果、ソフトコンピューティングの姿は、難解な課題を「簡単に」解決していた頃とは異なり、より高性能を求めるがあまり、「複雑な」技術となってしまったのもまた事実です。
私が大学院で過ごした二年間は、この「複雑な」技術のひとつとなってしまったソフトコンピューティングを私たちの生活にどうやって「簡単に」応用するか、挑戦と失敗の連続でした。特に、最後に行った「ファジィを色覚検査に応用する」研究は、私の研究生活の集大成と呼べるものです。色覚検査は、現代医療の現場でも曖昧さを色濃く残している領域で、曖昧な情報をそのまま扱うことができるソフトコンピューティングの応用が今尚、期待できる分野でもあります。
しかしながら、どのように応用すれば正しい検査結果を得られるのか、当時は非常に悩みました。その方法を検討するために、恩師を質問攻めにしては、秘蔵の書架を引っかき回しましたし、それだけでは飽き足らず、他専攻の先生までも捕まえては、何かのヒントを得ようと必死でした。なんと困った学生だったことでしょう。それでも、私が大学院生であることを明かせば、多くの諸先生方が私の話に熱心に耳を傾け、深夜まで惜しみなく議論に付き合ってくださったのです。私の質問が幾度となく恩師を困らせたことは、いまでもよくよく覚えています。
その後、そんな私もなんとか無事に就職することができ、現在ではプロジェクトリーダーとして、商品の設計・開発を推進する業務を行いながら、毎日を忙しく過ごしています。残念ながら、研究成果が直接生かされる職業というわけではないのですが、これまでの研究で培ったソフトコンピューティングの知識と経験は、想像以上にいまの私を支えている、そのことを実感しない日はありません。
もしかすると、近い将来に業務のかたわら、ソフトコンピューティングの知識を、何らかの形で商品設計へと応用できる日がやってくるかもしれません。機会があれば、ぜひ挑戦してみたいとこれからも楽しみにしています。
これから大学院を目指す皆さんにとって、目標に向かって自らの力で研究を推し進めるということは、過去に受けてきた授業とは異なり、より新鮮でとても魅力的に感じられることでしょう。ぜひ、これまでにない大きな目標と自信を持って、大学院に挑戦してください。
情報工学専攻 博士後期課程(2002年度修了)
長野大学企業情報学部 学部長 田中 法博 さん(工学博士)
私は自分の明確な方向性を持たないまま自分探しのために大学院に進学しました。しかし、現在では1つのテーマについて研究、発表し、就職も希望した職へと就けるまで成長することができました。私の経験から、どんな人でもその気になれば自分の知らない自分や能力を見出せます。大学院進学でそのために必要な経験(きっかけ)が多くできる貴重な時間が与えられると思います。
本年度は、私の大阪電気通信大学での生活に大きな節目となりました。
これまで、私は博士(工学)の学位取得後もポスドクとして本学に残り研究を続けてきました。この間、非常に恵まれた研究環境の下、大学院の頃からのものを含め、多数の研究成果を発表し、国内のみならず海外でもこれらの研究成果が評価されるようになりました。このため自分の研究にも誇りを持てるようになってきました。
もちろん、これは私の実力ではなく、指導して下さっている先生や同じ研究室の卒業研究生や大学院生の強力な支えによるものなのですが、私のようなものが同じ分野の研究者に認められつつあるということに大変な驚きを感じています。
また私は同時に、本学情報工学科の非常勤講師として教育活動を行ってきましたが、これまでに大学院で学んだ知識や考え方が、教育活動の上でも非常に役に立っているということに驚きを感じました。私のような未熟者が述べるようなことではないのかも知れませんが、この経験は、大学での教育というものは、研究と教育活動が非常に密接に結び付いているものであると痛感させるものでした。
つまり、高い教育レベルを維持するためには教員自身が、常に最先端の研究を続けて高い研究レベルを維持していかなければならないということです。大阪電気通信大学は、他大学と比較しても非常に研究に力を入れている大学です。このことは、教育に直接フィードバックされており、これまでにも非常に優れた学生を育ててきています。お恥ずかしい話ですが、私自身は、大学院への進学は、純粋な好奇心のみで決めてしまったので高い志を持っていませんでした。また、大学院生の頃は素晴らしい研究環境が目の前にあったにも拘わらず、それを活かしきれた自信はありません。しかし、これから大学院を目指す皆さんには、この環境を活かしきって最先端の研究を体験して欲しいと強く希望致します。そして、大学院に入れば学内だけではなく、学会に多く参加して学外の研究に触れ、そして自らも発表して欲しいと考えています。このことにより、自分の研究の位置づけを知ることができるので、自分の研究への自信になり、また不足しているところを知ることができます。
このようにして学んだ大学院での知識や知見は、将来技術者や研究者を目指す皆さんにとって人生の幅を広げるものになるでしょう。ところで、私はこれまで本学で教育研究活動を続けて参りましたが、本年度(平成16年度)より長野大学産業社会学部産業情報学科の助教授として赴任いたします。赴任先で私が担当する授業は、プログラミング等、情報処理関連の科目です。またゼミナールも幾つか担当するのですが、テーマ選択や授業運営は、各教員に任されていますので、どのように学生に興味を持たせ、それを持続させていくのかという点で、本学の大学院で学んだことを活かしていきたいと考えています。
長野大学には教員公募に応募して採用していただいたのですが、本学とは繋がりのない大学にも拘わらず、私の研究業績や本学で授与された学位に関して大変高い評価をいただいたように思えます。
奨学金
本学の大学院(博士前期課程)で受けられる主な奨学金は次の通りです。本学奨学金は給付(返還不要)のため人気があります。日本学生支援機構奨学金「第2種」は貸与額が選べるようになり、希望に応じた選択が可能になりました。多くの学生が奨学金を受けています。また、「第1種」奨学金については貸与を受けた奨学金の返還免除を卒業時に申請することができ、採用されれば、貸与額の全額または一部の返還が免除される制度があります。
奨学金の種別 | 金 額 | 給付・貸与 | 人 数 | ||
---|---|---|---|---|---|
1 | 日本学生支援 機構奨学金 |
第1種奨学金 | 月額8万8千円 | 無利子貸与 | 11名* |
第2種奨学金 | 月額5、8、10、13万円より選択 | 有利子貸与 | 希望者全員採用* | ||
2 | 本学奨学金 | C奨学金 | 年額16万円 | 給付 | 上位20% |
D奨学金 | 年額8万円 | 給付 | 残り80% | ||
3 | 本学後援会・友電会奨学金 | 年額50万円 | 無利子貸与 | 若干名 | |
4 | 中西奨学金 | 月額3万3千円 | 給付 | 2研究科で1名 | |
5 | タイガー育英金 | 月額1万5千円 | 給付 | 2研究科で1名 |
1. 上記*印は2007年度の実績です。
2. 奨学金は、学部成績にもとづいて入学後に決定されます。
情報工学院生会
院生会とは、“院生同士と教員の親睦を深める場”を設ける自治組織で、情報工学コースの博士課程前期・後期課程に属する全大学院生が自主的に活動している団体である。実際の活動としては、院生会主催の「スポーツ大会」や「親睦会」等がある。スポーツ大会では、体を動かしストレスを発散し、また、親睦会では、院生や教員との意見交換をしてリフレッシュをしている。スポーツ大会のボウリング大会では、院生や教員の各個人のスコアを競い合う。普段、授業でしか顔を合わさない院生や教員の意外な一面に触れる絶好の機会である。上位入賞者やブービーの人に送られる賞品や先生の名誉等、様々な思念・思惑が絡み合い、ゲームにも自然と熱が入る。
年度末の修論発表会後の親睦会は、ビッグイベントである。もちろん博士号対象者と修士号対象者が主役である。さらに、大学院入学予定者も加わり、全員が顔を合わせる重要な場となっている。まず、コース主任のあいさつと乾杯の音頭で親睦会は始まる。それから、各先生から修了生への激励の言葉、修了生から後輩へのメッセージ、入学予定者の紹介へと続く。思わず笑ってしまう話がありつつも、「今が大切!勉強に励もう!」「2年間は、あっという間だからしっかり研究しよう!」といった、温かい励ましもある。特に社会経験の豊かな後期課程院生の方の話題には興味がもたれる。また、緊張気味の入学予定者も自分達の紹介が終える頃には場になごみ、各個人の個性が前面にあらわれ、気がつけば皆がビールで顔を赤らめながら先輩と労をねぎらう姿があちらこちらで見られるようになる。
以上のように、院生会は、院生同士や教員を含めた情報交換を行い、院生同士がお互い有意義な大学院生活を快適に過ごすことができる環境作りを目標として活動している。
特に、情報工学コースは、研究に携わる専門分野が幅広く、演習(研究発表)や授業以外では、なかなか皆で会う機会がなく意思疎通を図りにくいので、これを防ぐために院生会が大変役立っている。