一次元フォトニック結晶の作製と光学特性評価


-研究目的-

 フォトニック結晶とは異なる屈折率を持った誘電体を交互に積層し、膜厚と屈折率を選ぶことによりある波長で光を透過しない光学的性質を持つ結晶である。
 透明誘電体である酸化チタンと酸化ケイ素の積層構造をゾルゲル法で作製し、この一次元フォトニック結晶の光学的性質を調べるため透過率スペクトルを測定して、フォトニックバンドギャップが生じるかを検証していきます。



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。  誘電体をZ軸方向に積み重ねた場合[図(3)]の透過と反射の理論について、電場は入射面に対して垂直方向をなしているのでEy=Ez=0、磁場はHx=0となるので式(1)から式(3)の3成分のみで表されます。Maxwellの方程式より振幅を表す関数は4〜6式で表され、WはUとVの関数で表されるので式(7)のような微分方程式が得られます。



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。  続いて、Q0を初期値、Q1を1層目、Nを先ほどの式7の微分方程式の解とする式(8)のような行列式で表すとすると、初期値を求める行列式は式9のようになります。Mは特性行列といいh1層の入り口と出口での成分を表しており、一般的には式9のように表されます。
 これより、U3,V3はM倍のU2,V2となります。次にU2,V2はさらにM倍のU1,V1となります。よって、N周期では式(11)のようになります。
 ここで、厚さがhaのTiO2層とhbのSiO2層の1周期について考えます。特性行列は各層の掛け合わせたものになり、各成分は式12のような、ほぼ同じような成分で表され、N周期の特性行列は式13で表されます。 今回の場合は垂直に入射させているので、式14のθを0として計算をすると、各成分が求まり、その結果より、透過率・反射率を求めることが出来ます。



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。  プロパノールで酸化チタンと酸化ケイ素を薄め、スピンコーターでカバーガラス上に薄膜を形成させます。そして、水分や溶媒を除くために焼結していきます。酸化チタン→酸化ケイ素・・・酸化チタンの順に焼結していきます。今回、酸化ケイ素層と酸化チタン層を1:2の割合でスピンコートし、焼結していきました。



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。 カバーガラス上にできた薄膜を、ゾル・ゲル法をすることにより結晶化していきます。酸化チタンでは、120℃30分で水分と溶媒を除き、425℃・60分で焼結を行います。 酸化ケイ素は、85℃〜255℃で水分と溶媒を除き、72℃まで温度を下げた後に425℃・60分で焼結させます。これらの焼結方法を行えば、フォトニック結晶を作製することができます。 今回結果で発表する積層数は、3・5・7・11層となり、これらの試料を分光器で透過反射スペクトルを測定しました。



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