ニア・ファーフィールドパターン精密測定による光ファイバー内の真の導波モード推定

画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。  光ファイバーの周囲に塗付した色素ドープ薄膜が光励起によりレーザー発振することが多 数報告されている。
 光ファイバー内の伝播光の強度分布がファイバー外周部で強くなるように調整できれば効 率よく励起できることが期待できる。このような伝播モードが可能かどうかを調べることを 目的とした。



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。 [実験方法]
 (1)〜ビーム・プロファイラーによる光強度測定〜
Nd/YAG SHGレーザーや半導体レーザー光@を対物レンズAで集光し、光ファイバCに結合する。光ファイバー他端での伝播光のニア・フィールドパターンを顕微鏡Eで拡大し、CCDカメラ(ビームプロファイラー)Fで撮影する。光ファイバCから出た光を光検出器で数?と出力されれば、主となる光はほぼ光ファイバ内を通過したものと推定できる。そうなる為に、対物レンズAの調整をし、さらに光ファイバーコネクタBを調整する。光ファイバCをコネクタDに接続し直して、D〜Fを光ファイバーCの光に沿って平行にし、顕微鏡Eで光ファイバーC出射口零距離の像(ニア・フィールドパターン)を検出できる。それぞれをビーム・プロファイラーFで検出する事で光ファイバC内の光強度の分布を知ることができる。
 (2)〜スペクトル・アナライザによるレーザー光の縦モード分布測定〜
光ファイバーからの出射光をEでコメリートし、平行光状態での光強度空間分布をFで撮影する。レーザー光の縦モード(波長軸上での発振強度分布)は、光ファイバーCをスペクトラム・アナライザーGへ接続して観測した。



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。  図2のニアフィールドパターンでは、ファイバー中心部の光強度が弱く外周部に強く出ていることがわかる。また、図3のファーフィールドパターンでは中心部、外周部の区別はなく全体に光強度がばらついているのがわかる。 図4のスペクトラム・アナライザーのグラフでは周波数が661nm付近にピークが二つあるのがわかる。



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。  実験1では、目的としていた結果がいきなり出てしまい、このことには何か原因があるのではと思い、ファイバーやレンズを調べて診た所、レンズに図5のようなレンズ中心に焼け付きが見られた



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。  図5のレンズを焼き付きのない清浄レンズに取り代えて、ニアフィールドパターンを測定したものが図6になる。図の左側の2Dを見るとファイバーの中心辺りが最も光強度が強いことがだいたい見てとれる。図の右側の3D画像では、そのことがより解りやすく描き出されている。



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。  同様にファーフィールドパターンを測定したものが図7になる



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。 図8では、レンズを清浄レンズに交換した後でスペクトラムアナライザーでファイバーからでた光の各周波数での光強度を測定した。図4の時の様なピークが二つ出るような分布にはならず、661.5nmに出たピーク一つだけに変わっていた。



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。  また図9では、焼き付いたレンズのみが目的として提唱した、外周部に光強度が強く光る事に起因しているかどうかを確かめるために、改めて焼き付いたレンズでニアフィールドパターンを測定してみた所、図2で得られた様な中心部は弱く外周部に強く光強度が出るような結果が得られた。



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。  図10では図9と同じように、清浄レンズを上記と同じ理由により焼き付いたレンズに交換し、ファーフィールドパターンを測定したものである。 ファーフィールドパターンではニアフィールドパターンほどの変化はみられなかった。



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。  結果としては、クラッドの外側にも光が抜けだしていることが測定したニアフィールドパターンの2Dの画像から解る。  また対物レンズ中心の焼き付きが結果としては、功を奏した形となった。 図9、図10からも解る通りレンズの焼き付きだけが、外周部に強く光強度を起こすものではなく、ファイバーの種類や長さまた巻き数、レンズからファイバーへの集光角度の様々な条件が影響しているのではないかと思われる。



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。  【実験2】
クラッド層を除去すると、より励起しやすいと考え、エッチング前の外径をフッ化水素でエッチング処理を行い、コア層のみの光ファイバーを製作しました。



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。  図14では、中心部では、光強度が大きく、外周部にいくにつれてなだらかに小さくなっていくことがわかります。



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。 エッチング処理後の光ファイバーでは、コア層の外周部に際立って光の励起が確認されました。



実験2の結論
光強度分布を実験1と比べると、理想的にコア外周部に励起光が分布していることがわかる。
使用した光ファイバーが、短いためか、対称性はくずれている。



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。 今後の展望
温今回の実験ではコア外周部に塗付した。色素が一種類だったため、比較検討が行いにくかった。真の導波モードを導くためにも数種の色素を使用した場合を試みる。