数理解析研究紹介教員紹介浅倉 史興
教授 浅倉 史興

研究分野

双曲型保存則系の数学解析

研究内容

自然界でおこる流体現象を単純化した数理モデルのなかで、私は、最も単純化した1次元的モデル(波形の解析と考えれば良い)の数学解析おこなっています。質量保存、エネルギー保存を表す方程式と運動方程式(ある場合には運動量保存)の3つの連立偏微分方程式系が基本です。この微分方程式系は波形の時間的な変化を表し、双曲型保存則系と言われます。この微分方程式系は強い非線形性を持つので、真空中のマクスウェル方程式のような、解の重ね合わせができません。また、最初は連続でなめらかな波形でも、有限時間で不連続になります。これは、衝撃波が発生する現象ととらえることができ、たとえば、超音速ジェット機が音速を越えるときに、機体の前後に大きなエネルギをもった衝撃波が2つ発生します。微分方程式は、衝撃波の前後では意味を持ちませんが、質量、運動量、エネルギは保存され、ランキン-ユゴニオ条件という方程式系になります。この条件をみたす状態全体は、ユゴニオ曲線という、空間または平面曲線となり、それらの幾何学が微分方程式の解析にとってたいへん重要です。現在は,とくに気体の運動方程式と油層中の3相流体の保存則系を研究しています。


最近の学術論文

  1. F. Asakura & A. Corli, Global existence of solutions by path decomposition for a model of multiphase flow, to appear Quarterly of Applied Mathematics (2012)
  2. F. Asakura & M. Yamazaki, Viscous shock profiles for 2x2 systems of hyperbolic conservation laws with an umbilic point, Journal of Hyperbolic Differential Equations, Vol. 6, No. 3 (2009) 483-524